For Japanese Talents

TT2020 修了生レポート 5

Talents Tokyo(TT)は、東京都などが主催する映画の人材育成プロジェクトで、2010年に始まりました。今年のTTはどのように開催されるのか。修了生による体験談レポートを掲載しています。

木下雄介

Talents Tokyoでは、アジアの監督・プロデューサーである15人のタレンツたちが、エキスパーツと各々の企画を詰めるグループセッションを経て、5分のピッチング+5分のQ&Aで自身の企画を映画関係者に向けて発表するオープン・プレゼンが主となります。

今年も海外のタレンツはすでに海外映画祭やワークショップの経験豊かな面々でした。社会的なテーマと聴衆の興味を引く問いかけ、映画の世界観をデザイナーに起こしてもらったムードボード、ワクワクするようなメンバーを世界各国から集めたチームの提案など、「この映画を今作る意義があるのだ」と他人に理解してもらうための説得力に強度がありました。

以前、自分が参加した際に感じたのは、個人的な問題に対する目線から描かれた繊細さにこだわるだけでは、いくら思いを伝えても、文化歴史が違う国の共通理解のない他者にはよくわかってもらえない。その個人の物語の背景にある社会や時代も徹底的に掘り下げること。また海外の同世代の映画人との関わりの中で、その物語を外から見たときにどういう意味を持つのか、客観的な視点を鋭くすることが大事だと思いつつ、今も勉強は続いています。

今年はオンラインでの開催となりましたが、タレンツ達はコロナによる外出自粛下でも、自分の映画企画を話し合える喜びを語っていて、今集う意義を感じました。それと同時に、オンラインではどうしても人と直接会った際に五感で掴む情報量が欠落します。特にオープン・プレゼンでは、普段部屋いっぱいになる聴き手の顔が見えず、タレンツには自分と同じものを見て聞いているか不安が付きまといます。主催の日本人の聴き手にできることといえば、いつにも増して自分の意図を明確に主張する・他人のために差し出していくことであり、その根っこは映画祭で行われるコミュニケーションと変わらないと思いました。

アジアは近いです。壁に囲まれた部屋からであろうと、同じ星の下にいる想像力が喚起されました。

KINOSHITA Yusuke (Director, 2016 Alumnus)
木下雄介(監督、2016年修了)

1981年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。監督・脚本・撮影・編集した自主映画『鳥籠』(02)がぴあフィルムフェスティバルにて準グランプリと観客賞を受賞。第15回PFFスカラシップとなる初長編映画『水の花』(06)がベルリン国際映画祭に出品される。その後短編映画『NOTHING UNUSUAL』(12)を発表。
最新作は是枝裕和総合監修のオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』(18)の一編『いたずら同盟』。香港で製作された『十年』(15)を元に、日本・タイ・台湾の映像作家がそれぞれの国の10年後を描いた国際共同プロジェクトに参加。日本版の『十年Ten Years Japan』は釜山国際映画祭に出品され国内外で劇場公開された。